- 作者: シャーリイ・ジャクスン,市田泉
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2016/11/30
- メディア: 文庫
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年末・年始にまとめた記事を送る。
『処刑人』シャーリイ・ジャクソン著を読む。
主人公ナタリーは女子大生になりたて。
「大学の女子寮に入る」。
親元を離れての一人暮らし。
不安と解放感が入り乱れる。
ただ寮となると
上級生など新たな不安のタネが。
ナタリーは処世術とか知らないので
カルチャーショックにちょっとは悩む。
父親は(たぶん)売れていない作家。
日本でいうところの純文学作家なのかも。
専業主婦の母親は夫に対して知性よりも経済性を求める
しごく凡庸なタイプ。
タイトルのイメージだと
映画『サスペリア』みたいに
(ごめん。古い映画しか知らなくて)
なんかの亡霊が処刑人として
女子寮に住む女の子たちを
次々襲う。
ザンネ~ン!!!
ナタリーは帰省する。
ところがほんの少し寮住まいしただけなのに
暮らした家に自分の居場所はなかった。
すぐさま寮に帰りたくなった。
そうなんだ、ぼくもそう思った。
親からの自立というとダサいかもしれないが、
十代の少女の心模様が
実にみずみずしく描かれている。
傷ついたリ、傷つけたり。
踏まれたり、踏んだり。
出会いと別れ。
んでもって大人の扉を開ける。
ようやく最後のほうに
作者らしきシーンが登場する。
彼女にとっては大冒険。
デヴィッド・リンチの映画のような感じ。
深緑野分の解説によると
作者の実体験を投影したものらしい。
死小説じゃなくて私小説じゃん。
思いつきだけど
『処刑人』って
昨日の自分を殺す今日の自分じゃなかろうか。
昨日の自分は嫌い。
何もこれはヤングばっかじゃなくてオールドだって
そう思うよ。