バイクと仮想通貨


アンダーグラウンド・マーケット』藤井太洋著を読む。
作者を知ったのは『現代思想 2017年2月号
ビットコインブロックチェーンの思想』に掲載されていたエッセイ。
舞台は「2018年の東京」。いわゆる近未来SFなのだが、
仮想通貨をテーマにしているのが斬新。
いま投機で騒がれているビットコインなど、
仮想通貨が実際に身近な暮らしでどう浸透しているかの
シミュレーション小説。

「2018年の東京」は、インバウンドどころか移民が進み、
多国籍、無国籍化。
ローカライズな仮想通貨が流通している。
主人公たちはフリーのITクリエイター。
ひょんなことから事件に巻き込まれる。
カオスシティ東京をバイクで移動する。
そのスピード感がカッコいい。
バイクっつってもオートバイじゃなくて自転車のほう。

「中華系移民の暮らすハニカム・ネスト」。
カプセルホテルの巨大なものか。
このような近未来ネタもなかなかのもの。
ストーリーはテンポ良くてエンタメ系としても楽しめ、
仮想通貨のおベンキョウもできてしまう。

で、『現代思想』のエッセイでは、作者は
「認証基盤としてのブロックチェーン」に期待している。
一例で「出版契約」をあげている。

「契約の内容を暗号化して、作家たちと出版社が作る
ブロックチェーンに載せれば、改竄と消失の危険はなくなる。
紙の契約書原本が要らなくなり、担当者が異動になっても、
出版社が倒産しても契約の条件は残り、申請の契約だと証明
してくれるのだ」

 

 

一元管理というとどうしても企業側、会社側のものと
色眼鏡で見がちだが、ブロックチェーンの発展しだいでは
ぼくたちの一元管理が実現するということになる。

人気ブログランキング