髪を切る

めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女


後ろ髪が外にはねる。
髪を切るサインだ。
シャワーを浴びたついでに
髪を電気ヘアカッターで切る。
トラだろうがシマだろうが、
クセ毛なもので適当にまとまる。
伸び放題の庭木も切らないと。

土日は、資料を軽くまとめてから
『めくらやなぎと眠る女』村上春樹著を読む。
「ニューヨーク発24の短編コレクション
英語版と同じ作品構成で贈る」
というのが、売りらしい。
逆輸入の国産車みたいなものか。
YouTubeスティーリー・ダンを聴きながら読む。
ウォルター・ベッカーの追悼も兼ねて。

ま、当然なんだけど、いつもの村上春樹ワールド。
気の利いた台詞と自給自足しているマメな男たち。
風変わりさが魅力の女たち。
読む前は恋愛小説系よりも
『氷男』が出てくるような奇想小説系を
読みたいと思ったが、
恋愛小説も読み直すと意外と良くて。

『蛍』は、のちにふくらませて
ノルウェイの森』の一部となったもの。
他にもある。
久々に読んだが、短編の方がいいなと思った。
感想は読む時期でころころ変わるのさ。
ネットもスマートフォンもない時代の恋愛。
待ち合わせなんて連絡つかないから、
遅刻かすっぽかされたのか。
電話するのもなんだし。
喫煙者だったら、一箱吸い終わるまで待とうとか。
逢いたいのに逢えない。
逢いたくないのに逢える。

 

「ずっと以前に書いた短篇小説が夜中にうちにやってきて、
僕をゆすって起こし、「おい、気楽に寝ている場合じゃないぞ。
まだ俺はじゅうぶんに書かれちゃいないんだ。そんなに簡単に
忘れないでくれ」と訴えるのだ。そうなるとその声に導かれるまま、
長篇小説を書き上げないわけにはいかない。そういう意味でも、僕の
中で長篇小説と短篇小説はとても自然に、有機的に結びついていると
言っていいと思う」
(「イントロダクション」より)



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