資料のはらわた

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

湿度のせいか、金曜日のせいか、へばり気味。
資料を出力して読み込む。記事を書く。

『原因を推論する』久米郁男著を読んだ。
副題が「政治分析方法論のすすめ」。
中身は意外とざっくばらん。
本筋はそれなりに難しいところもあるので
最初は面白そうなところだけ拾い読みすると
収穫があるかも。
たとえば、こんなところ。

 

「朝食を摂らない非行少年は、脳の糖代謝前頭葉の部分で
低下し、偏食による低血糖やビタミン、ミネラルの欠乏と
相まって抑制が効かなくなり、その結果非行に暴走するという
ことを示しています」
(「茨城県警と筑波大学が共同で調査した報告書」)


この因果関係は真か偽か。
作者が分析している。
もっともらしいのだが、よーく検証していくと、
つっこみどころがいろいろ出てくる。
引用をもう一度読んでほしい。
「非行少年」は、朝飯を食っても食わなくても
暴れるときは暴れるし。

あとは、ぼくも感激して読んだ『ビジョナリーカンパニー』に
ついての考察。
経営学者であるフィル・ローゼンツワイグ」の批判の引用の引用。

「集めたデータの大半は雑誌や新聞や企業の刊行物からのもので、
ハロー効果でゆがめられているおそれがある」

 


ハロー効果はバイアスの一種で、
割と感染しやすい。
作者はこう付記する。

「秘密を守ってきたから成功したのではなく、成功したから
それが秘訣に見えるという逆の因果関係である」

 

うろ覚えだが、ソニーがビジョナリーカンパニーとして
取り上げられていた。それが、どうだ。
サクセスストーリーは、読んでいて楽しくわくわくする。
だけど、結局のところ、さほど参考にはならないよね。
気休めというのか。

世界的なエアバッグ会社だったタカタなんて
一昔前は間違いなくビジョナリーカンパニーだったはず。
それが、どうだ。

本筋の政治について引用。

「近年「事実証拠に基づく政策」の重要性が語られ始めた。
もともとは、医学の世界において主張されたEvidence Based Medicineという考え方に影響されたものである」


「政策の世界でも、これと同じように可能な限り客観的なデータの
厳密な分析をふまえようというのが、発想の基本である」

 

ここ、ここが、足りない。福一も受動喫煙加計学園も。

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