ごほんび

星の子

星の子

 

予定より早く仕事が終わったので
『星の子』今村夏子著を読む。
ご本のご褒美で、ごほんび。

主人公の女子中学生は赤ん坊の頃、
霊験あらたかな水で治らなかった病気が治った。
以来一家は、信仰生活に入る。
まわりはそんな水はインチキだと思うが、
それで治ったのだから。
新興宗教、カルト宗教は
うさん臭げに見られがち。
まあ、その教義を守ろうとすると
軋轢も起きるだろう。
その苦難を乗り越えればいちだんと高いステージに上れる。
ダメだったら信心が足りないと。

女の子は、ごく普通の子で、
彼女を通して
家族、親族、信者、先生、同級生が語られる。
作者ならではの少年少女の心理描写が巧みで、
ぼくも遥か昔の中学時代をふと思い出していた。
早く終わってほしい、早く終わらないでほしいが
入り混じった気分とか。

いわば総本山の「星々の郷」へ家族と行く。
修行のメニューは、
たぶん自己開発セミナーと似たようなものか。
作者の実体験なのか、否か。
ま、それはどうでもいいのだが、
建物描写などがリアルなもんで。

特別な事件や事故もない。
姉の失踪ぐらいか。
ガチ家族を描いた真っ向からの作品。

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