『夜行』を読む

夜行

夜行


『夜行』森見登美彦著を読む。
ホワイトデーのプレゼント用に買ったんだけど、
ぺらぺら試し読みしていたら、
止まらなくなって移動中にも読んで結局、最後まで。

『夜行』と銘打たれた銅版画シリーズがモチーフ。
女性と風景が描かれ、全部で48作。
そこから、
尾道奥飛騨津軽天竜峡、鞍馬」のタイトルで
妖怪百物語ならぬ異界五物語がはじまる。
夜の鞍馬ではじまり夜の鞍馬で終わる。


あの世とこの世。
あの世から見れば、逆になる。
異界と日常世界もおんなじ。さかしま。
過去、現在、未来の時制が歪んでいる。
というか、そんなのは関係なくて。

作者のこさえたお化け屋敷に
最初から最後まで翻弄させられる。
悲鳴はあげないが、
あとからじわじわと来る。
心の傷のかさぶたをはがされるような。
痛かゆい。
闇と影。でも、それは光があるから。

映像化するなら、トップカットは
それぞれのモノクロームの銅版画にズームインして
世界に入っていく。

最後に、この一文を引用。

「ある種の家は、ある種の人間と同様、のっけから邪悪な
性悪を示している」
『空家』アルジャーノン・ブラックウッド著より

 

 

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