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お茶漬けの味

木菟燈籠 (講談社文芸文庫)

木菟燈籠 (講談社文芸文庫)


正月明けの3連休。
これを過ぎてからようやく世間は
通常ペースに戻るのだろうか。

ポオ祭りも岩波文庫の評論集で一応、打ち止めにする予定。
毒出しではないが、違った本が読みたくなる。
で、『木菟燈籠』小沼丹著を読む。
身辺雑記風だが、味わい深いユーモア。
作者の分身である大寺さんシリーズや
師匠である清水町先生こと井伏鱒二のことや
教鞭をとった時代の同僚や妻の入院などのエピソードを
死というゲートウェイを通して淡く描いている。
例によって劇的なことは起こらない。起きてはいけないし。
誰もが経験したことのある、去来する喜怒哀楽を
あっさりと含羞を交えつつ書かれている。
退屈しないで読ませるのだから、名人芸といってもよい。

喪中欠礼をもらったときや
年賀状の短い近況報告で親の介護をしていることを
知ったとき、その人の思い出が浮かび上がる。
定年まで会社を勤め上げた人。
途中で独立してうまくいった人。
そうじゃなかった人。
お茶漬けの味のような短篇集。
この本が講談社から単行本で上梓されたのが昭和53年。
作者が60歳のとき。
もじりだが、「昭和も遠くなりにけり」だ、マジで。

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