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ほとんどビョーキ

病(やまい)短編小説集 (平凡社ライブラリー)

病(やまい)短編小説集 (平凡社ライブラリー)

 

お試しで原稿を一本書いて送る。
ダメだったら、チェンジなのか。
いつもの仕事で直しが入る。
的確な指示ゆえ苦も無くまとまる。送る。

『病短編小説集』E.ヘミングウェイ、W.S.モームほか著を読む。
死と病は、金持ち、貧乏人に平等に訪れる。
そりゃ金持ちの方が、最先端の薬や治療を受けられるかもしれないが、
延命処置。病の症状を軽減でき、死を先送りできても、
それらからは逃れることはできない。

個人的にサマセット・モームの『サナトリウム』が1等賞。
かつて結核は死の病で、お涙頂戴文学の一大テーマとなっていた。
サナトリウム萌えのブンガク少女&少年。
ところが、近代になって結核は治癒される病となって大幅ランクダウン。
そのサマを書いている。
サナトリウムという閉ざされた世界の人間模様。
解説を読んだら、モームは医師の資格を有していたそうな。
医師兼作家って洋の東西を問わず結構いるけど、
観察眼が共通しているのだろうか。

2等賞がドリス・レッシングの『十九号室へ』。
知らない作家だけど、ノーベル文学賞を受賞している。
これは才能もあって稼ぎもいい男女が結婚して
子宝に恵まれて絵に描いたハイソな幸福生活を営んでいる。
専業主婦となった妻がにいつしか鬱に襲われる。
日常生活から逃避して部屋を借りる。
夫婦愛は出がらしとなっているが、妻の行状を訝る夫。
クールでめっちゃ面白い。
まんま現代の日本に置き換えても成立する。
他の作品も読んでみたくなる。

3等賞がジョン・アップダイクの『ある「ハンセン病患者」の日記から』。
ハンセン病寛解したと思われる名人的陶工の日記。
自身の体、恋人の体と陶器の白くつるつるとしたきめ細やかな肌合いが、
オーバーラップする。
治ったというが、果たしてそれはどういうことなのか。
前のように寸分たがわず同じ健康体なのか。
でも、きっと違う。
鋭い眼差しとテクニシャンぶりに感服する。

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