ぼくのおじさんじゃないおじさん


久しぶりに営業。
プロフィールと作品を選んで出力する。
合間に企画用のビジネス書を読んで
付け焼刃的にわか勉強。
図書館やamazon古本など
コスパも考えて。
ボツになれば、それっきりだし。
敗者復活もあるが、稀だし。

移動本は『イエスの幼子時代』J.M.クッツェー著を読む。
移民船で出会ったおじさんと5歳の男児。
男児は身寄りがないらしく、ちょっと偏屈なおじさんが
面倒をみることに。
「泣く子と地頭には勝てぬ」というが、
5歳の男児に振り回されるおじさんや大人たち。
血縁はないが、縁あって知り合った男児とおじさんとおばさん。
疑似家族のようなもの。
それぞれ、良かれと思ってやることが、
うまくかみ合わない。
移民ということは、過去を捨てて新しい自分、
生き方をつかもうとするのだが。
遠くから眺めていれば、理想郷と思え、夢も一方的に
ふくらむが、実際のところは。
おじさんは港の荷役の仕事でケガをして
リタイアを覚悟する。
学校での集団生活や秩序にまったくなじめない男児は、
落伍者のレッテルを貼られようとする。
それを阻止するおじさん以下大人たち。
男の子、映画だったら名子役が扮するのだろう。

訳者の鴻巣友節子は、あとがきで「ディストピア小説」と
述べている。
平等の名のもとに身勝手な自由(当人はそうは思わない)を認めない。
踏みつぶす社会。
そうには違いないが、これまでのクッツェーの作品と比べれば、
案外、しみじみほのぼのしている。

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