エスプレッソ・ミステリー

罪悪 (創元推理文庫)

罪悪 (創元推理文庫)

ブログのPV数が珍しく増えている。
勝手にラジオCM 金鳥少年シリーズのエントリーのせいか。

洋物は、ポルノもミステリーも、ちと苦手なのだが、
このところ久しぶりに、洋物ミステリーづいている。
作品自体がいいのと、翻訳のうまさもあるのだろう。

『罪悪』フェルディナント・フォン・シーラッハ著を読む。
初読。
短編集ゆえ、電車で読むのにはもってこい。
作者は弁護士だそうで、その経験がネタ元なのかとは思うが、
それだけではない。
殺人鬼に連続殺人小説が書けるか。
蚊も殺せないミステリー作家の方が当然、
リアリティのあるものを書くだろう。

短く、深く、濃い。
お約束の会話は一切なく、梗概かと思わせる。
長編にもできそうないいものを、バッサリと刈り込んで
省略、省略。
不親切とも思えるくらい読み手にゲタを預ける。
読み返すと、そういうことかと、じわじわくる。
コーヒーでいうとエスプレッソ。
ちびちび飲んでちょうどいい。
罪と罰。善と悪。
そのボーダーラインを描く。
子どもの残酷な事件、残虐性を扱ったものは、
エドワード・ゴーリーの絵本のそれと似ている。

人気ブログランキング