- 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2016/02/13
- メディア: 文庫
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ブログのPV数が珍しく増えている。
勝手にラジオCM 金鳥少年シリーズのエントリーのせいか。
洋物は、ポルノもミステリーも、ちと苦手なのだが、
このところ久しぶりに、洋物ミステリーづいている。
作品自体がいいのと、翻訳のうまさもあるのだろう。
『罪悪』フェルディナント・フォン・シーラッハ著を読む。
初読。
短編集ゆえ、電車で読むのにはもってこい。
作者は弁護士だそうで、その経験がネタ元なのかとは思うが、
それだけではない。
殺人鬼に連続殺人小説が書けるか。
蚊も殺せないミステリー作家の方が当然、
リアリティのあるものを書くだろう。
短く、深く、濃い。
お約束の会話は一切なく、梗概かと思わせる。
長編にもできそうないいものを、バッサリと刈り込んで
省略、省略。
不親切とも思えるくらい読み手にゲタを預ける。
読み返すと、そういうことかと、じわじわくる。
コーヒーでいうとエスプレッソ。
ちびちび飲んでちょうどいい。
罪と罰。善と悪。
そのボーダーラインを描く。
子どもの残酷な事件、残虐性を扱ったものは、
エドワード・ゴーリーの絵本のそれと似ている。