- 作者: 牧野修
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/07/08
- メディア: 文庫
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『月世界小説』牧野修著を読む。
作者の本を読むのは久しぶり。
もし第二次世界大戦後、
日本語が消滅していたらという
ディックばりの奇想。
奇想と妄想が主成分の
作者の創るパラレルワールドにはまりつつ、
民族と言語という高邁なことも、ちと考える。
ルグィンの『言の葉の樹』や
R.M.W. ディクソンの『言語の興亡』などにもつながる。
神林長平なら、ストーリーやキャラクターも
もっとハードになるかもしれないが、
そこは、小説巧者。手練手管でエンタメに仕上げている。
キャラ造形が魅力的。
これ、深夜の時間帯のアニメーションで見たい。
原作で困っている関係者には、
一読をぜひ!と声を大にして言いたい。
パラレルワールドの一つが1975年。
ユリ・ゲラー、ノストラダムスの大予言、『日本沈没』と思われる
事柄がなぜか変名で紹介されている。
学生運動も下火になろうとして
スピリチュアル、オカルト、
要するに「不思議大好き」(by糸井重里)の時代へ。