青春の入口と出口

流


『流』東山彰良著を読む。
台湾にはまって台湾映画から
実際に台湾弾丸ツァーを決行した妻から
借りたもの。

主人公は台湾の若者。時には熱く、時には激しく、
ほとばしるエネルギーを持て余しながら生きている。
親日抗日。大陸と台湾。
二つの中国は、人々の大きな捩じれとなっている。
激動の時代を生きたリスペクトする祖父の殺人事件をキーに
話は進む。
カンのいいミステリーファンなら、途中で真犯人に気づくはず。
祖父の店は中華商場にあった。
『歩道橋の魔術師』呉明益著と、重なる。
台湾映画の映像が浮かぶ。

台湾にも徴兵制があったんだ。
どうやら志願制度になるようだが。
ドロップアウトした主人公は、兵役につき、中途で忌避する。
読んでいてNHKファミリーヒストリーというか
大家族、血族の話じゃんと思った。

日本がバブルを迎えた頃、
彼は仕事で日本と台湾を行き来する。
バブルの描写も懐かしく。
で、中国へ渡り、祖父を殺した犯人と会う。
中国経済が躍進し始める頃。

青春の入口と出口。
ほろ苦さとパワフルさが成り立っている。
『流』。英語だとLike a Rolling Stoneか。

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