さよならは別れの言葉じゃなくて

グループ・ダイナミックス --集団と群集の心理学

グループ・ダイナミックス --集団と群集の心理学

3月は、番組改編時期で
見ていたというよりも聞いていた番組が
終わりになるのは、いくつになっても憂鬱。
花粉がピークらしく、体調も思わしくなく憂鬱。

『グループ・ダイナミクス 集団と群集の心理学』釘原直樹著を読む。
同著者の『人はなぜ集団になると怠けるのか』のモト本とでも言えばいいのか。
コンソメスープじゃなくてコンソメキューブ的内容ゆえ、
難しく濃いところもあるが、ここに述べられている論考を
メガネにして社会や世間を見てみると、あーら不思議、その構造が見えてくる。

「太平洋戦争開戦時の集団的浅慮」の章から引用。

「集団的浅慮」とは
「集団問題解決場面で成員が集団維持にエネルギーを注ぎすぎるあまり、
パフォーマンスに十分な注意が向かなくなるために決定の質が低下する現象」

 

この定義で

「太平洋戦争開戦時の日本の最高首脳は集団的浅慮に陥っていたのであろうか」


作者は否!と言う。

それは

「集団的浅慮の原因と考えられる、集団擬集性の高さ、首脳集団の孤立、
強力なリーダーシップの存在もなかった」


つまり、それ以下だと。次の引用に瞠目してしまった。

「堺屋(2002)や養老(2001)は日本の社会的団体はすぐに
共同体化すると述べている。会社も官庁も大学も軍隊も最初は
機能体としてつくられる。機能体とは明確な目的のためにつくられた集団である。しかし日本では本来仕事をするためにある団体がその団体を構成するメンバーの福祉のために存在する共同体になってしまう。
要するに課題遂行をするための集団が、容易に集団維持のための集団になってしまう」



土居健郎の唱えた『「甘え」の構造』 と、ほぼ同義だろう。

「三人寄れば文殊の知恵」と「船頭多くして船山に登る」は、
うらはら。
あとは「スケープゴート」と「テロリズム」の章も
目からウロコ。

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