- 作者: 桜井鈴茂
- 出版社/メーカー: 文遊社
- 発売日: 2015/12/03
- メディア: 単行本
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『へんてこな この場所から』桜井鈴茂著を読む。
作者の最新刊。といっても、
2008年に文芸誌に掲載されたのもあるから、
出るまではつらかったぜ、たぶん。
ぼくは個人的にもっと売れてもいいと思う作家なのだが。
初期の作者の主人公は、まだ20代後半のフリーターだった。
売れない作家や元バンドマンとか。
この作品では今や30代後半のフリーターが主人公。
ハローワークへ行くと求人ファイルがあるが、
それが若い年代だと結構分厚いのだが、
35歳以上になると、薄っぺらくなる。
しかも、職種は限定される。
限りなく不透明に近いブラックって感じ。
喰うためにアルバイトをして、
次を模索する、宙ぶらりんな状態。
いつキレて堕ちていくのか。板子一枚。
そこで出会う訳ありの男や女。
断酒会、AAに通う女と付き合う。
ブルース・スプリングスティーンの歌詞にも通じる
リアリティのあるほろ苦さ。
若者言葉を使うなら、かっけえロックな私小説。
この本を白水社のエクスリブリスシリーズに
ラインアップしても何ら違和感はないだろう。
著者の作品の拙レビューをば。
『女たち』
『冬の旅』