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お蚕さま

蚕: 絹糸を吐く虫と日本人

蚕: 絹糸を吐く虫と日本人


原稿の仕込み。
役立ちそうなところをコピーする。

『蚕 絹糸を吐く虫と日本人』畑中章宏著を読む。
日本人と蚕、養蚕、生糸、絹織物の関係を
民俗学的に探る。
資料も漁るが、フィールドワークもこまめに行い、
まさに足で稼ぐ。
そこからの視点が複眼とでも言えばいいのか、
新しい。

ぼくが住んでいた福島の町にも
畑のそこここに桑の木があった。
かつての養蚕の名残だと思うが。
桑の実は食べ放題。
うっすら甘くて、唇が紫色になるほど。
方言でブンズ色と言った。

小学校の低学年の頃だったろうか、
父方の祖母の家で蚕を飼っていた。
理由はわからないが、
そんなに大きくない箱に
お蚕さまがうじゃうじゃ。
桑の葉はらぺこあおむしのように
食べていた。
そのさまは、やはり、モスラをイメージせずには
いられなかった。

「桑港」は、サンフランシスコの漢字表記だが、
「桑都」は、八王子のこと。
横浜へつながる「絹の道」。
八王子のもっと奥、山梨あたりで育った蚕が
八王子で絹織物となって「横浜シルク」として
輸出される。
このあたり但馬丹波で育てられた黒毛和牛が
神戸で神戸牛になるのと似ているような。

八王子の呉服店のお嬢様だったユーミン
『天気雨』という楽曲で鉄道を乗り継いで
八王子から茅ヶ崎
サーファーのたぶん片思いの彼に会いに行く
女子の切ない恋愛模様を描いている。
これは来ぬの道か。

長野では蚕も食べることを知る。
はちの子、ざざ虫は知っていたが。
諏訪に行った折、片倉館の千人風呂に入った。
その深さにびっくりしたが。
ここは元片倉製糸の温泉保養施設だそうで。

作者が紹介していた『呪われたシルク・ロード』辺見じゅん著は、
図書館の保存庫にあった。
蚕をテーマにした小説というと、
篠田節子のデビュー作『絹の変容』を思い出す。

作者が撮影した写真も豊富におさめられていて
より興味をそそるが、もっと鮮明なのが見たい。

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