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この1冊ですべてわかる 心理マーケティングの基本

この1冊ですべてわかる 心理マーケティングの基本


「お父さん、お父さん、魔王 が来るよ」
「坊や、あれは風の音だよ」
シューベルトの『魔王』の有名な1シーンを
思わせるぐらいの寒さの中、
自転車で買い出しに行く。

『心理マーケティングの基本』梅津順江を読む。
これも資料本。
この手の本の執筆者は、まず、教授や学者。
専門領域を咀嚼した内容。
もっともっとわかりやすくしたいならば、
ライターが教授に取材してまとめるというのもある。
そんな本かと思ったら、違った。
「定性リサーチャー(インタビュアー)」として
豊富な経験がある作者が、
惜しげもなくインタビュースキルを公開している。

ただ通常のインタビューは、取材内容を再構成すれば
おしまいだが、作者の仕事は、
取材データからいまどきの生活者の動向などを分析、
「アブクション(仮説推論)」を抽出。
そこから新商品の開発などにつなげるというもの。

ぼくもいろいろなインタビューをしてきたが、
初対面の人から本音を聞きだすのは、至難の業。
逆に取材慣れした有名人からは、
いままで話したことのないことを聞きだすのも至難の技。
お互いがようやく打ち解けだしていい感じで
話せるようになったと思ったら、はい、時間です。

人はオンラインとオフラインでは、あり方が違うように、
デプスインタビューとかを試みても、
果たしてどれだけ本心を聞き出すことができるのだろうか。

作者は言う。話すこと、バーバルコミュニケーション以外の
しぐさや顔の表情などノンバーバルコミュニケーションを見逃すなと。
言葉では「ノー」だが、眼は「イエス」とか。
「定性リサーチャー(インタビュアー)」にはきく力、みる力、
そして何よりも感じる力が求められる。
場の空気とも言えよう。
その手立てが丁寧に書かれている。
ワンパターンのインタビューでちゃっちゃっと原稿をまとめがちなライターにも
参考になる。

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