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トロンプ・ルイユ

ようやく冬らしい日々。

『エオンタ 自然の子供 金井美恵子自選短篇集』を読む。
スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』の合間に読むんだけど、
とても同じ日本語とは思えないような世界に面食らう。
減速読書でようやく世界が見えてくる。
たぶん、以前読んだと思われる作品が、はじめて読む感じ。
記憶力が衰えた、読みこなせなかった、それもあるが、
昔と今の違う年代で読むと
見えて来るものが違うのだろう。

精緻な文体で編まれた作品は、いずれもトロンプ・ルイユ(だまし絵)のよう。
作者のペンにかかると、
つまらない街が、ヨーロッパの素敵な街に。

解説で野田康文が、この短篇を繋いでいるものは
「水のイメージ」だと言う。なるほど。
たゆたい、流れ、ほとばしり。
液体、液状化…。

てなことで、ガストン・バシュラールの一文を引用して
しめとする。

「世界を創造し夜を分解するのには、一滴の強力な水で充分なのである。
この強力さを夢想するのには深さにおいて想像された一滴こそ必要なのだ。このように力動化された水は胚芽となり、人生に汲みつくしえぬ飛躍を与える」
(『水と夢』序 想像力と物質 ガストン・バシュラール著より)



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