語るシス

街の人生

街の人生


twitterの中澤系botに、染み入るこの頃。
短歌、タンメン、タンバリン。

『街の人生』岸政彦著を読む。
作者は社会学者でフィールドワークの一環で
聞き取りをしている。
「「生活史」(ライフ・ヒストリー)」で
「「自分の人生の語り」」
で、
「マイノリティと呼ばれる人」に
聞き取りをして幸いに上梓されたのがこの本。

「日系南米人のゲイ、ニューハーフ、摂食障害の当事者、
シングルマザーの風俗嬢、元ホームレスの、普通の人生の記録」


昨今流行のLGBT
なるべく聞き取りのまま、テキスト化したそうな。
ゆえにその模様が文字で読め、興味ぶかい。
インタビューというと矢継ぎ早に質問攻めにしたり、
時には誘導尋問の陥れたりする、そんなことは一切せず、
相手がリラックスして話すのを、待つ。

自分史がブームだそうだが、いまはそうでもないのか。
第三者が介在して、その人の人生をフォーカスするから
面白いのだろう。
取材者が異なれば、たぶん聞き取り内容も異なったりするのだろう。

ぼくも取材経験はそれなりにあるが、苦手っちゃ苦手。
最終的な原稿は、文字数制限があったり、
やばいところは、取材先やクライアントから修正や変更、
削除を求められたりして、まとまりはいいが、現場の空気感、臨場感は
かなり薄れてしまっているような気がする。
いちばんいいのは、テープ起こし、音声データ起こしの原稿。
これは、漁船で釣り上げた魚を漁師が捌いて刺身で喰う感じ。

普通の人生だけど、みんな違う。
人生の経験が豊富な中高年者からいい話が聞けるとは
限らないし、
人生の経験がわずかな幼稚園児だから人生の話が
つまらないとは限らない。

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