- 作者: 小島信夫
- 出版社/メーカー: 幻戯書房
- 発売日: 2015/01/26
- メディア: 単行本
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『風の吹き抜ける部屋』小島信夫著を読んだ。
単行本未収録のものを集めたもの。
名人の落語家の語り口調のような文体。
ファンには、たまらん。
ぱらぱらとページをめくっては、
気になるところから読みだす。
長寿で最後まで現役の作家だったゆえ、
先輩・後輩の作家たちとの交友や
文学的評価、死への思いなどが淡々と書かれている。
森敦などなど。
中でも意外だったのは、田中小実昌。
古いつきあいだったとは
知らなんだ。
小説を書くまでの話が出ている。
サローヤンの『人間喜劇』は、
作者の翻訳ものの代表的な作品だと思うが、
下訳を田中小実昌に依頼したとは。
で、できが良くて手を入れたところは少々、
ほとんど田中訳で刊行されたとか。
そんなことまで
あけすけに書いてしまう。
小島信夫→田中小実昌→片岡義男
というツリー図 。
村上春樹をつなげていいものか。
「『私の作家遍歴』は、皆さんの眼に入る作品、人物などを
元に遍歴しています。『別れる理由』では、私に近い人物の
内側へ、意識の下へともぐりこんで行き、その意識の中で
遍歴を行ったようです。私の今書いている作品はこの延長線
上にあることは確かです」
『『私の作家評伝』から『私の作家遍歴』へ』
この遍歴が一筋縄じゃいかなくて、
だらだらくねくね。まわり道、ぐるぐる。
このところ、わりかし、幻戯(ゲンキ)書房の本を読んでいる。
版元名は、創業者・角川源義の名前のアレンジ。
幻戯書房の方が、いまのKADOKAWAじゃなくて
角川書店っぽいなあ。
「風の吹き抜ける場所へ」は、フライングキッズ。
好きな一曲。関係ないけど。