疲労骨折

低地 (Shinchosha CREST BOOKS)

低地 (Shinchosha CREST BOOKS)

 

台風一過。
疲労骨折した傘の残骸。
雑に食べられた魚の骨にも見える。
渋谷界隈を収集してディスプレイしたら、
イケてるインスタレーションになるかもね。

連休中、『低地』 ジュンパ・ラヒリ著を読んだ。

血が繋がっているから家族なのか。
一緒に暮らしているから家族なのか。
子どもが生まれてからせっせと思い出を貯金して。
さぞ、豊かな思い出長者と思いきや、
その思い出は負の遺産不良債権だったりして。

この作品の核となる女性の生き方を
決して身勝手とは言えないだろう。

絵に描いたようなホームドラマ真っ青のリアル家族。
でも、「あなたのためよお~」が口癖の優しいママは、
結婚当初からの孤独池、疎外沼から
生涯、出ることは出来なかった。

もっとも、出る必要はないし、
埋め立てでもしたら、生息不能状態に陥るのは
必至だったろう。

痴呆が出て、それまでひた隠しにしていたものが
露わになる。とかね。

登場人物の胸の内、行動を丹念に描写。
近しい間柄でも、もとい、近しいがゆえに
意志の疎通がままならない。
そんなことを感じさせた小説。
真っ向勝負の作品。
荒筋を知りたい人は、amazonあたりで
チェックしてみて。

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