電車でGO!

電車道

電車道

電車道磯崎憲一郎を読んだ。

押し相撲の力士が一気に相手を押し出す話ではない。
文字通り、第一は電車の話。
ある日、日本の都市部近郊の農地もしくは原野が
大量に買われて切り拓かれる。
そこに線路ができ、架線柱が建てられ、架線が張られる。
私鉄は莫大な費用を投資して、電車という交通インフラを整備する。
国鉄(JR)は、SLだったが、私鉄は最初から電車だったとか。
そこからは、学園都市、田園都市の不動産業で
費用の回収に努める。
敷設された路線に景勝地や温泉地があれば、
観光産業の目玉として施設を充実させて、市民を勧誘する。
宮崎駿監督の『風立ちぬ』と同じように
交通機関の発達史として読める。
最後あたりで電車vsモータリゼーションが出て来る。

本筋には関係ないが、
関東大震災が起きた時には、
ラジオ放送はなかったそうな。
その弊害がデマによる朝鮮人虐殺がなど起きた。

第二はその電車創業・開設に関わった家の話。
代替わりで主人公が変わる。
かつて流行ったモーフィングのように。
一切会話がなく、進行する。
その異なる話が巧みで、リアリティがある。
例によってズームイン、ズームアウトが自在で、
幾度となく読んでいて時代や世界を俯瞰させられてしまった。

人の暮らしは便利になって豊かになったのか。
本当に文明は発展したのか。
また、それで良いのか。
アーミッシュみたいに反物質文明的ライフスタイルも
共存するような、選択できるような…。
てなことを感じた。

モーフィングを知らしめたPV。参考までに。



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