- 作者: 原田敏明,高橋貢
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2000/01
- メディア: 単行本
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図書館にあった平凡社ライブラリー版『日本霊異記』を読んだ。
『現代アートで読む澁澤龍彦』シリーズの感化だ、単純。
もちろん現代語訳。
お坊さんが編集したそうで、
不信心者や人の道に外れた者には罰が下り、
正行(しょうぎょう)した者は善き報いを受ける。
こんな説話スタイルなんだけど、
話によっては怪談めいたり、
オカルトぽかったり、SFチックだったり、バラエティに富んでいる。
ネタに困った作家や脚本家は、
この本を読むとなんかヒント、ケミストリーが起こるかもよ。
『日本霊異記』の下手なパスティーシュを、紹介。
「領主が成すべきことを放棄して、悪い死に方をした話」
その谷には古来より水銀鉱山があった。
良質の水銀を産出し、近隣諸国はもとより
都の神社仏閣の朱色の顔料として珍重されていた。
莫大な収益は、武器や馬などの軍事費に使われた。
ある日、大水により水銀鉱山の排水路が破壊された。
領主は、それを放っておいたまま採掘を続けるよう命じた。
廃水が大量に流入した川の水を呑んだ集落の住民は
誰彼ともなく様子がおかしくなり、
キチガ○水やキチガ○病と噂されるようになった。
「アンダーコントロール」と言い張っていた領主は、
こともあろうに水銀中毒で悶絶死したそうな。