- 作者: ウラジーミルソローキン,松下隆志
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/01/23
- メディア: 単行本
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『氷』ウラジミール・ソローキン著を読む。
バラードの『結晶世界』は、幻想的な水晶化した世界を
堪能させてくれたが、はてさて氷の世界なのだろうかと、
期待しつつ読み進む。
カルトや暴力は、ソローキンをはじめ、ウェルベック、
村上春樹や中村文則にも共通しているテーマ。
世界文学の共時性もしくは強磁性(wordで最初に変換したが、
面白いので採用)なのだろうか。
ISISの遺伝子がパンデミックを引き起こしているように。
「氷のハンマー」で強打されると、
「心臓(こころ)が覚醒する」。
『指輪物語』の指輪のようなものと思えばいいだろう。
それが本来の、前世の自分なのか、ある種の解脱した新しい自分なのか。
ホーリーネームみたいな違う呼び名があって、さ。
ふと、ボリス・ヴィアンの「心臓抜き」を思い出した。
この小説は三部作で、本作が2番目だそうだ。
「四部構成」からなり、
「氷のハンマー」をキーにして内容が異なる。
いつもの作品よりもSF濃度が高く、ポップでとっつきやすい。
とりわけ第三部は、「氷のハンマー」のカスタマーレビュー形式で、
amazonのレビュー欄のパスティーシュ。やるな!
花粉症でそれ用の目薬をさしているが、
寝ている時に、ゴシゴシかいているらしく、
鏡で見ると、いつもより悪人面になっている。
春先は悪人面。着まわせる悪人ルック。
「氷のハンマー」で殴打されると、
ぼくはどうなるのだろう。