氷のハンマー

氷: 氷三部作2 (氷三部作 2)

氷: 氷三部作2 (氷三部作 2)

『氷』ウラジミール・ソローキン著を読む。
バラードの『結晶世界』は、幻想的な水晶化した世界を
堪能させてくれたが、はてさて氷の世界なのだろうかと、
期待しつつ読み進む。

カルトや暴力は、ソローキンをはじめ、ウェルベック
村上春樹中村文則にも共通しているテーマ。
世界文学の共時性もしくは強磁性(wordで最初に変換したが、
面白いので採用)なのだろうか。
ISISの遺伝子がパンデミックを引き起こしているように。

「氷のハンマー」で強打されると、
「心臓(こころ)が覚醒する」。
指輪物語』の指輪のようなものと思えばいいだろう。
それが本来の、前世の自分なのか、ある種の解脱した新しい自分なのか。
ホーリーネームみたいな違う呼び名があって、さ。
ふと、ボリス・ヴィアンの「心臓抜き」を思い出した。
この小説は三部作で、本作が2番目だそうだ。
「四部構成」からなり、
「氷のハンマー」をキーにして内容が異なる。
いつもの作品よりもSF濃度が高く、ポップでとっつきやすい。
とりわけ第三部は、「氷のハンマー」のカスタマーレビュー形式で、
amazonのレビュー欄のパスティーシュ。やるな!

花粉症でそれ用の目薬をさしているが、
寝ている時に、ゴシゴシかいているらしく、
鏡で見ると、いつもより悪人面になっている。
春先は悪人面。着まわせる悪人ルック。
「氷のハンマー」で殴打されると、
ぼくはどうなるのだろう。

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