球数は多くなる

造反有理 精神医療現代史へ

造反有理 精神医療現代史へ

原稿が書けなくなった夢を見た。
鋭さと速さは、衰えたかも。
あ、野球のピッチャーと同じか。
遅い直球を、ごまかして速く見せるテクニック。
コーナーぎりぎりをつく投球ゆえ、
球数は多くなる。
ただなあ、Webのテキストには熟成とかは、
求められてないようだし。

造反有理 精神医療現代史へ』立岩真也著を読んだ。
この本では、精神医学。医療をめぐってのもう一つの学園闘争の歩みが
書かれている。
思い浮かんだことをつらつらと。
ぼくの身内に精神病で長患いの者がいる。
30代に発症して入退院を繰り返して、
一度は就職したらしいのだが、結局、だめだったようだ。
60代のいまも施設に入院していて、兄弟が面倒を見ている。

都立松沢病院が出て来る。
ここは、大宅文庫へ行くとき、いつも目にしていた。
インタビューシリーズ広告で人選をするための、
資料を集めに、通っていた。
広大な敷地。バブル期には、さぞ高額の地価がついただろう。

その10年後ぐらいに、松沢病院に行った。
入院ではなくて、アルコール依存症で入院した社長の見舞いにだ。
梅雨の頃だったろうか。
午前中、新宿でゲームソフトの企画で怪しい風水の先生と打ち合わせに行ってから
京王線に乗った。各駅停車しか止まらない、最寄駅。
病棟は出入りの際、施錠する。
今ならカードキーとか、か。
ちょうどカラオケタイムでうるさいほど音楽が鳴っていた。
むりやり盛り上がっているようにも見えた。
彼は薬の副作用のせいか、精彩を欠いていた。
後日、聞いたら、ぼくが見舞いに行ったことは覚えていなかったそうだ。
会社はつぶれたが、彼は酒は飲んでないようだ。
最近は知らないが。
吾妻ひでおはリハビリというよりも漫画家精神で
失踪日記』を書いた。

医師は、治療する人と研究する人、2つの側面がある。
ともすると、患者は、実験や研究の対象となる。
どっかの大学の医学部で、コミュニケーション、
ぶっちゃけ、口のきき方、接し方などを履修させるところがあるというのを、
新聞で読んだ記憶がある。
それでも医師と患者の非対称さは、変わらないが。

ちょっと前なら医療過誤は、院内処理で漏えいを防いでいたようだが、
最近では、気味悪いほどオープンですぐに謝る。
悪いことじゃないが。
でも、「患者様」という言い方は、気持ち悪い。

近所にデイケアセンターがあり、お遊戯タイムに遭遇するときがある。
体は大分衰えたが、頭は衰えていない父親が、
我慢できないのは、よくわかる。でもなあ。

この本で久しぶりにロボトミーという言葉を見た。
カッコーの巣の上で』だ。

変な人は、通報され、隔離されてしまう。
監視社会。自分たちで自分たちの首を絞めている。
弱者が生きにくい社会は、そうでない人にも生きにくい社会だ。

人気ブログランキング