軍歌とエンタメ

日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)

日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)

『日本の軍歌』辻田真佐憲著を読んだ。
なんだかこのところ、戦争まわりのエントリーが多いが、
別段理由はない。自然な流れ。
著者は、わかりやすく言うなら軍歌おタク。
1984年生まれで軍歌マニア。
イデオロギー的なものはぬきにして
軍歌の誕生から成長まで。
あの軍歌の生まれた背景。
なぜ愛唱されたかなどを述べている。
軍歌愛が伝わってくる。

軍歌も文学や富岡製糸場などとといっしょで輸入された。
当初は官やエリートが絡んだ。
新しい軍歌は、コンテストで公募された。
これは、意外だった。
レコード産業界の普及に大きく貢献したのは言うまでもない。
このあたり、道路振興策とゼネコンの関係に似ている。

軍歌はプロパガンダとしても有効な一助だったのだろう。
戦意高揚、国威発揚、国民の意志を一にする。

「音楽は軍需品なり」

だったそうだ。
まあたてまえはそうだろうが、
口ずさんだのは、いい歌詞、いいメロディーだったと思うが。

先日、ポッドキャストで『マキタスポーツのはたらくおじさん』を
聴いていたら、ゲストが矢野利裕だった。
うろ覚えだが、ダンスが必修科目となって、軍国主義的ラジオ体操となるのか。
エグザイルが武道館で日の丸をもとに踊って感激したとか。
AKB48のメンバーが自衛隊募集広報のCMに出ているが。とかそういう話だった。
ナショナリストはいかんが、愛国心はいい。
よく考えると、線引きが、どうも…。

「日本史上最大の政治的エンタメであった軍歌」

と定義している。
ならば、高田渡反戦フォーク『自衛隊に入ろう』をAKB48にカバーさせてみては、
どうだろう。

いま、山ガールなど登山がブームだが、
ワンダーフォーゲル運動を盛んにしたのは、ヒトラーユーゲントだった。
うーーんとうがった見方をすれば、
健康志向は、人間という製品の欠陥ロスを防ぐ手立て。
弱者切り捨ての優生思想って気がしないでもない。

付記。
この本でいちばん気に入ったエピソード。
古賀政男に、軍の担当者が、もっと勇ましいメロディーは書けないのかと
注文をつけたところ。
『影を慕いて』も『悲しい酒』も台無しじゃん。

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