プチバカンス

まとまった夏休みが取れないので、
近場の銭湯にでも行こうかと思ったら、
とっくに、廃業していたを失念していた。
仕方なく風呂を洗って湯をはって
温泉の素を入れて日の高いうちに入浴する。
ゆっくりと浸かっていると
蝉の鳴き声が近くでする。
旧盆を過ぎたあたりから、蝉が近場で鳴く。

あがって、サイダーを飲んでから、酎ハイをつくる。
大ぶりのグラスに氷をざくざく入れて。
紙パックの焼酎とペットボトルの炭酸水。
肴は『兵士の報酬 随筆コレクション 1』野呂邦暢著。
42歳で早世した作家。
代表的なものは読んだことがあるが、
まとめて随筆が読めるのは、ありがたい。
軽すぎず、重すぎず。適度なユーモアがあって。
気持ちがふわっとしていき、
ページを捲る手も速くなる。
家業の倒産で大学進学を断念、
ガソリンスタンで働くもかつかつの暮らし。
古書店で迷った挙句買う文庫本。
自衛隊入隊。退官。帰省。
図書館で読書。塾の先生をしつつ小説執筆。

小林信彦とも親交があったらしく、
作者の死についてのエッセイを読んだことがある。
長崎から編集者との打ち合わせなど所用で上京すると
映画好きの作者は『ぴあ』で見たい映画を赤丸で囲んで
はしごしていたとか。
『鳥たちの河口』という小説が好きだが、
この本にも諫早湾の将来を憂えるものが随所に出て来る。
存命だったら、有明海干拓をどう思っただろうか。

芥川賞をとった『草のつるぎ』を
映像化してくれないだろうか。主演、綾野剛でなくていいから。

人気ブログランキング