汗る

哲学入門 (ちくま新書)

哲学入門 (ちくま新書)

『哲学入門』戸田山和久著を読んだ。

「本書は唯物論的・発生的・自然主義観点からの
『哲学入門』だ」

作者いわゆる科学哲学系の人だもの、そうだろう。
って、いいんだよね。

いわゆる難解な用語を振りかざして。
と、いうのとは異なる。

オヤジギャグなのか、サービスなのか、
あえて軽くふざけて書いているところも多々ある。

「哲学の大事な仕事の一つに、二つの対立的・対照的な
考え方をつなぐ、あるいは両者の「いいとこ取り」をするには、
どうしたらよいかを考える、ということがある」

自分の理念を苦節何年煮詰めて煮詰めて。ではない。
ただし、どことどこをリンクさせるのか。
それで、キメラになったり、ウナギイヌになったり。
フリーでオープンソースLinuxをふと思い出した。
ハイレベルな集合知とか。


ダニエル・C・デネットに倣って

「人間はポパー型生物である。選択肢となる行動の適切さを
じっさいにやってみてテスト(実践テストと呼ぼう)する必要はない。
ありうる環境の表象と自分が採ることのできる多数の選択肢の
表象とを心の中に生成し、じっさいにやってみる前に、それをあらかじめ
心の中でテストすることができる。いわば、シミュレーション、思考実験によって学習できる心の持ち主だ」

厚くて難解なデネット本に初挑戦する前に、この本で予習しておくといい。
デネット入門書と位置付けても、間違いじゃないはず。


トマス・ネーゲルの言わんとするところ

「人生は、短めの目的手段連鎖の集積だ。人生全体が目的手段の連鎖で
成り立っているのではない」

目の前の幸せにすがることは、正解なのかしら。

著者は、哲学とはコンセプトメーキングだとも。
マーケティングをかじっている人なら、おなじみの言葉。

結びあたりの一文。

「重要な問いは「哲学は私の役に立つか」ではない。
「「私は哲学が役立つような種類の人間か」だ」

 

「哲学は私の役に立つか」は、
プラグマティズムなら哲学は道具だ。であり、
旧来の哲学用語をありがたがる人にとっては、知的なアクセサリーだ。
耳なし芳一」のように、身体にジャーゴンを巻きつけている。
そのジャーゴンが意味不明、判読不能だったら「意味なし芳一」だ。
いかん、作者に感化された。

 

「私は哲学が役立つような種類の人間か」
この命題を解くために、この本を書いたのかも。

キーワードが各章のテーマとなっている。
気になる章から読み出すのもあり。
最後に、つながるから。

 

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