埃値千鈞

忘れえぬ声を聴く

忘れえぬ声を聴く

桜は染井吉野、枝垂れ桜から八重桜へ。
近所を歩くだけで色取り取りの花を愛でることができる。
とはいえ、眼の痒みと水っ洟も最盛期。

引き続き、ニコ動でキリンジの極私的コンピレーションを聴きながら、
『忘れえぬ声を聴く』黒岩比佐子著を読む。
物故された作者の単行本未収録の原稿を集めたもの。
さまざまなメディアに発表されたものだが、
一冊にまとめてのを読んでみたら、見事なまでにブレていない。

井上孝治伝書鳩村井弦斎国木田独歩などなど。
井上孝治の写真は、かつて福岡のデパート岩田屋のキャンペーンのポスターに使われ、反響を読んだ。
郷愁を感じ、人々の生活の温もりをつたえる写真は、
広告写真に無い強いインパクトを与えてくれた。
NHK朝ドラ『ごちそうさん』の室井は、元祖“食育”の人で、
忘れられたかつてのベストセラー作家・村井弦斎をモデルにした
キャラクターだそうだが、作者の書いた人となりを読むと、いやはやクリソツ。

古書に魅了され、神保町通いをしていた作者。
存命ならば、興味のない人には塵としか思えない
古本に命を吹き込み、どのような著作に再生させていたのだろうか。
「埃値千鈞」
これは、某デパートの古本市でつくったチラシのコピー。

『パンとペン』黒岩比佐子著の感想メモ


『編集者 国木田独歩の時代』黒岩比佐子著の感想メモ

 

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