嫌いというバイアス

『化学物質はなぜ嫌われるのか』佐藤健太郎著を読む。


ダイオキシン、DDT、界面活性剤、合成着色料など
必要以上に忌み嫌われている化学物質について
平易に書かれてある。


そうなのかということのオンパレード。
ぼく自身、いかにバイアスがかかっているかが、よーくわかった。


「単純な理論には罠がある」

化学物質と聞けば「袈裟まで憎し」。
化学的根拠ではなく一種の感情論みたいなもので
一刀両断する。それが、「単純な理論」。


Twitter馴れした人たちは、ますます、そうなってしまうかも。


別に化学物質を手放しで礼賛しているわけじゃない。
きちんとこう述べている。

「化学が生み出した物質が人体にダメージを与えていることは
事実で、その対策を立てるのは現代の化学に課された大きな義務でしょう。
化学が環境を痛めつけてきたのは残念ながら事実ですが、
これに立ち向かうことができる唯一の学問もまた化学だけです」


毒と薬は、どうやら紙一重みたいで、
天然ものとて健康に良くない成分も含まれているとか。
そりゃそうだろうな。


悪名高きサリドマイドも、
今や「リウマチ、エイズ、ガン」の薬として復活しているそうだ。
このように毀誉褒貶も激しく、
まさに化(ば)け学なのだ。


自然物質、天然物質がいい役で、化学物質が悪役となりがちだが、
悪役を演じる人の方が、存外、いい人が多いそうだ。
というきわめて非化学的な一文を締めの言葉とする。


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