横溝正史読本

横溝正史読本 (角川文庫)

横溝正史読本 (角川文庫)

バラカン・モーニング」を聞き流す朝。


図書館から『横溝正史読本』小林信彦編を借りて読む。
まったくこの本を知らなかった。
ロングインタビューというよりもロング対談。
完全ノーカット版って風。
いやはや、その濃密なこと。
作家同士ということもあるが、
横溝は『新青年』元編集長、小林は『ヒッチコックマガジン』元編集長と
その時代のユースカルチャーに影響を及ぼした
元編集長同士という面も、面白い。
新青年』→『ヒッチコックマガジン』→『平凡パンチ
→『POPEYE』『BRUTUS』という流れだろうか。
個人的には小泉徹編集長時代の『宝島』も入れたいけど。
寝食を忘れて、ウソ。仕事をうっちゃて、おいおい、貪り読む。


横溝正史作品創作の秘密
金田一耕助誕生秘話か。
本格推理小説を書きたい人なら、読むべし。


横溝正史作品が生まれた時代


○『新青年』の版元博文館が、当時は全盛だったこと。
講談社は、まだベンチャー企業だった。
今は日記で知られる博文館だけど。


○日本の探偵小説における「カー、クリスティ」など
英米のミステリー作家たちの当時の評価と自作への本歌取り
換骨奪胎ぶり


○ロング対談のほか、「エッセイ、作品評、日記、年譜」と
至れり尽くせり。
中でも江戸川乱歩の「本陣殺人事件を評す」は、いい。


「あとがきにかえて」で小林は

「「ヒッチコック/トリュフォ」という名対談を模して、
遠く及ばずというところか」

と謙遜しているが、なかなか、実に。
晶文社のかつての「バラエティ・ブック」にも通じる。


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