見える化 わかる化

リスクと向きあう 福島原発事故以後

リスクと向きあう 福島原発事故以後

『リスクと向きあう』中西準子著を読んだ。

知らない人のために作者の研究領域を引用で。

「私の専門は、環境リスク評価研究です。あれは環境に悪い、これが悪いと
言われても、どちらが本当に悪いのか分からないことが多いものです。
比較するためには、環境への危険度の大きさを定量的に評価しなければ
なりません。その評価のための研究です」

「定量的に評価」ここが、重要。試験に出ます!
バイアスのかかったリスク評価や単なる感情的なデマゴギー
一様にツィートされてしまうと、わけわかんない。
ビッグデータとかいってるのにね。

「その研究がどうしても必要なのは、ある環境リスクを減らそうとすると、
別の環境リスクが大きくなるということがしばしばあるからです。
これを「リスク・トレードオフ」と言います。こういう場合には、一つの
リスクだけを減らしてもダメで、両方のリスクを睨みながら調整しなければ
ならないのです。」

具体例として作者はペルーの水道水を挙げている。

発がん性物質の生成の一員である塩素による消毒を止めたら、コレラが
発生して7000人が亡くなった」

作者の本やWebに載っているものを読むと、
リスクゼロなんて有りえない。
要は、関係者一同、どこらへんで手を打つかということで。

論文(原稿?)を依頼されて、
データ、数値化したものでまとめて出したら
はじめは理解されなかったとか。

リスクの見える化をしているわけだ。
サイエンスから常にフェアな物言いをしているんだけど、
右とか左とかイデオロギッシュな思想軸しか有していない人たちからは、
時としてわかってもらえなかったりして。

この本の第一部『福島原発事故に直面して』では、
チェルノブイリ探訪や放射能のリスクについて。
参考資料で、こちらを。
雑感629-2013.3.14「朝日新聞、インタビュー 『移住の選択肢 用意すべきだ』」

あえてこういうことをいうのも
作者のぶれない姿勢ゆえ。

著者の半生を語った第二部『時代の証言』では、
女性の研究者のパイオニアとして、
砕氷船のように道なき道を進んだことが語られている。
作者の父親、宇井純、夫のことなど、
研究のことから家族のことまで。
中西功 - Wikipedia


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