想ー像ーラジオー

想像ラジオ

想像ラジオ

『想像ラジオ』いとうせいこう著を読む。
「高い杉の木の上に引っかかって」ラジオ放送を始める男、DJアーク。
「想ー像ーラジオー」
っていうジングルからはじまる。
全編、DJアークの語り。
『想像ラジオ』は、それこそ想像できないと
聴くことができないラジオ局。
その代わり、想像力があれば、たぶん、日本中で聴ける。
ジョン・レノンの『イマジン』か。


映画でいうところの長回しのような構成。
作者は、また日本語ラッパーの草分けでもあるからなのか、
リズミカルというか読むスピードを加速してくれる。
読んでいていろんなことを思い浮かばせてくれる。
触媒となる文体とでもいおうか。


去年の秋ごろから、しばらく、東日本大震災で被害を受けた
漁港・漁村の人たちのインタビューをまとめる仕事をしていた。
映像から起こしたテキストを読み込む。
意味不明な箇所は、DVDでチェックする。
発言とその背景に偶然映り込んだ風景。
東北出身の者としては、
やはりシンクロしてしまい、しばし考えさせられた。
津波ならば、自然の災害だから、復興は確かに大変だが、
なんとかなるだろう。
福島県は、そこに原発事故がからむ。
これは、なじょしよもない。
しゃあんめじゃないけど、そういわざるを得ない。


『想像ラジオ』からは、きっと津波で流されて、
何もかもなくなった町の風景が一望できるのだろう。
住民の心は、もっと荒廃しているかもしれない。
音声だけなのに、音声だけだから、
ラジオはいちばん近いメディアなのかしれない。


選曲も泣かせる。
後日、YouTubeでまとめてみよう。


誰か、『想像ラジオ』のジングルを作ってくれないかな。


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