サラエボで、ゴドーを待ちながら―― エッセイ集2 :写真・演劇・文学 (エッセイ集 2 写真・演劇・文学)
- 作者: スーザン・ソンタグ,富山太佳夫
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: 単行本
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久しぶりに短距離の仕事、時間のない仕事をする。
短期集中。アドレナリンやドーパミン、血圧なんかを高めてのぞむ。
決まるといい。
『サラエボで、ゴドーを待ちながら』スーザン・ソンタグ著を読む。
写真、オペラ、演劇、文学など、アート系のエッセーの集成。
「水、血、癒しの香油、魔法の霊薬―この神話学の中で決定的な役割を
果たすのは、液体である。ワーグナーの物語はしばしば水の世界から船出する。
−略−流動性をめぐるワーグナーの最も眩惑的な探究である
『トリスタンとイゾルデ』は水上の旅に始まり、水上の旅に終わる」
鋭い。
貴種流離譚で、パピルスの小舟に流されるワケありの継嗣とか。
『トリスタンとイゾルデ』って、なんだか朝の連ドラ『純と愛』に似てないか。
沖縄の海と大阪の川。って、こじつけだけど。
でも、ワーグナーって要するに男視線ねと、ひとくさり。
ゲルマン・マッチョってことか。
「写真はあるがままの世界を、正確には、あったままの世界を透明に見えるように
するものではない。写真は有力なイデオロギーや、現にある社会の様態を下支えする
証拠を−しばしば見せかけの、つねに不完全なそれを−提示する。
そうした神話や組み合わせを作り上げ、強化していくのである」
鋭い。
ロバート・メイプルソープやアニー・リーボヴィッツの写真について言及している。
日本語名のタイトルは、
著者が動乱時のサラエボで『ゴドーを待ちながら』を演出したことを
書いたエッセイのタイトルからつけた。
不条理のダブルバインド。