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岡潔―数学の詩人 (岩波新書)

岡潔―数学の詩人 (岩波新書)

乱高下する気温。暑くても涼しくてもよいが、
乱高下は精神衛生に極めてよろしくない。


岡潔 数学の詩人』高瀬正仁著を読む。
「世界的な数学者」は知っていたが、なるほど紙一重の人だ。
はじめにの引用が素晴らしい。

「人の中心は情緒である。情緒には民族によっていろいろな色調の
ものがある。たとえば春の野にさまざまな色どりの草花があるような
ものである。…
数学とはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することに
よって作り出す学問芸術の一つであって、知性の文字板に、
欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである」

「自らの情緒を外に表現する」それは筆と絵具なら絵画だし、
言葉だったら詩や小説だし、音符だったら音楽だし。
計算や数式ぐらいしか知らない一般的な数学とは別次元のもののようだ。
もっと風呂敷を広げちゃえば、和魂洋才とも言えるし、
ある種京都学派の近代の超克にも通じるものがある。


『ガリレオ』で福山雅治扮する湯川助教授(准教授)が
かっこよくチョークで計算して事件を解明していったが。
湯川先生は物理学者だが。
一方岡は「和歌山の山村」で一日中「思索に」没頭していた。
ナッシュ均衡で知られるジョン・ナッシュを思い出す。
困ったときの拙レビュー紹介。
『ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡』シルヴィア・ナサー著

これくらい厚みと深みがあれば。
ま、新書だし、入門編には良いのだろう。
作者の経歴を見たら『評伝岡潔 星の章』『評伝岡潔 花の章』がある。
あるじゃない、厚いの。読んでみるか。


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