ビール日和

ドラッカー名著集12 傍観者の時代 (ドラッカー名著集 12)

ドラッカー名著集12 傍観者の時代 (ドラッカー名著集 12)

昨日は、緊急呼び出しがかかる。
夕方打ち合わせがすんで、いい時間。
ノドが乾いたのでコーヒーよりも生ビールにしましょうと、
店を探すが、いい店がなくて、東京国際フォーラムの屋台村で
ハイネケンを飲む。つまみは、ソーセージ、フライドチキンと
牛スジとキャベツの炒め。
風が抜けるので、気分よく飲める。
会社帰りの人や家族連れ、カップル、大学生のグループなどいろいろ。
みな、楽しげな顔。
ごちそうさまでした。
先のことはあまり考えず、目先のことを一個一個つぶしていこう。


『傍観者の時代』ドラッカー著を読む。
ビジネス書ではなく自伝。ということで食指が動いた。
日経新聞の「私の履歴書」のようなもの。
考えてみれば、ぼくはかなりの自伝好きだ。
人は誰でも自分史、自分の生きてきた道程をテーマに
一作は小説なり、ノンフィクションが書けるそうだが。
そこは、ドラッカー。
幼少期に出会ったフロイトからマクルーハンまで
有名・無名に関わらず、クセのある個性的な人物が出てくる。
作者の「心を打った人を登場させた」そうな。


まずは第一次世界大戦後のウィーン。
二人の恩師から、悪筆を徹底的に直される。
この件は、微笑ましくも大切な基本だと思う。

「教師には二種類ある。一方は教える才能をもつ天賦の教師であり、
もう一方は生徒自身に学ぶべきことをプログラムさせる学習指導者である」


作者の故郷でもあるが、当時のウィーンは
ウィーン学団に代表されるように、
知のカンブリア期状態で才能ある人々が爆発、輩出していた。
で、「八歳のときに」フロイトに会う。
当時最先端だった、もしくは異端とみなされていた精神分析の開祖。
実際のところは、「差別、無視」もなく「裕福」だったと。
これは意外だった。
ポランニー家との交流も。


ナチスから逃れるべく渡米する。
作者は「お人好しの時代のアメリカ」と称している。
とにかく「仕事探し」から住まい探しまで見知らぬ人間のために骨を折る。

「不況時のアメリカ」「人に賭けてみようという気持ちも本物だった」。

彼はアメリカという新しい国を傍観する。
しかし、「日本が真珠湾を攻撃した」ことにより、「お人好し」は終焉となる。
怒れる大魔神。アメリカのこの相反する二面性は、いまなお存在している。
キッシンジャーの師やGMの経営者との交流も。


マクルーハンとは「一九四0年頃」に「出会う」。
「ひょろりと高く痩せていた」「いたって平凡に見えた英語教師」だった
マクルーハン

グーテンベルクの新しいテクノロジー−活版印刷−が、教授法と
表現法だけでなく教授内容まで変えたために、近代大学が生まれたと論じた」

活版印刷は知識とすべきものを規定したのです」

後年の「メディアはメッセージ」の原型だと。
ipad電子書籍は、どうなんだろう。


自ら「傍観者」というだけに、とにかく聴く、見る。
一定の距離感を保って。
培われた怜悧な見識が、マネジメントに帰結したのだろう、たぶん。


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