残念だ

伊藤計劃記録

伊藤計劃記録

伊藤計劃記録』伊藤計劃著を読む。
逝去された作者のアーカイブス。
中でも個人サイトに載せていた映画評「Running Pictures」の
ピックアップ集が、楽しい。
真っ先に、ここから読み出した。
「武蔵野美術大学美術学部映像科卒」だけに映画評も見るというよりも
実作者側から捉えられており、書きながら、
やがて書くであろう小説や漫画などの触媒にしていたと思われる。


あとは、黒丸尚の影響。文体とか。
そうだったんだ。ウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』など、
サイバーパンク。懐かしー。千葉シティとか。
たぶん便乗−インスパイアされた−のパール兄弟の『TRON岬』とか思い出す。
ぼくは、なかなかついていけなかったけど。
作者が健在だったら、この本は出なかった(と、思う)。
何篇か短い小説も載っているが、
作家としての才能の埋蔵量はハンパじゃないことをイヤというほど感じさせる。
もう新作が読めないことは甚だ残念だ。


菅首相の「最小不幸社会」か。最小幸福社会じゃなくて。
どっちがいいんだろう。時代の気分的には前者なんだろう。
不幸を最小限にとどめるための応急処置、激痛を一時的に和らげるモルヒネとか。
読んでないけど池田信夫の『希望を捨てる勇気』にもつながっているような。
「痛みを伴う構造改革」ってのもあったけど。


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