Nの肖像 ― 統一教会で過ごした日々の記憶

Nの肖像 ― 統一教会で過ごした日々の記憶


仕事関係の種まきは、ゆるやかではあるが、
芽を出しつつある。大切にせねば。


『Nの肖像』仲正昌樹著を読む。
作者の統一教会体験記。
インタビュー形式なので
生い立ちからはじまり、広島の高校から東大に入学、
統一教会に入信し、脱会するまでの日々が
淡々と記されている。
要するに作者は、自分の居場所をずっと探していた。
結果的に統一教会の世話になった。
とはいえ、珍味売りはするが、売れずなど、
100パー洗脳されることなく一定の距離感を常に保っていた。
統一教会側から見れば、ダメ信者だったのだろう。
大学では原理とレッテルを貼られ、大学院の試験に失敗、
その挙句、世界日報の記者となる。
やっぱりそこには自分の居場所がなく、
縁あって大学院に進む。
読後感が増田みず子の『シングルセル』に似ている。
あるいはかつてゼミで読まされたキルケゴールの一連の著作にも。
孤独というのか、お一人様に耐えるというのか。


社会が不安定になると、宗教が出てくる。
かつては「病」や「貧」が対象だったが、
日本が豊かになるにつれ自分探し、存在のアリバイなどが対象になった。
家族や地縁などが崩壊した今、
サヨク、ましてウヨクなど政治にあんまし期待できないとなると、
新たな宗教の出番となるのだろうか。


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