服従スイッチ

服従の心理

服従の心理

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『服従の心理』スタンレー・ミルグラム著の感想メモ。 

「子供は家族の繭を出ると同時に、制度化された権威システムに
移し替えられる。これがすなわち学校だ。ここで子供は、
個別の具体的なカリキュラムを教わるだけでなく、
組織の枠組み内でどう機能すべきかを学ぶ。
−略−かなりの部分は教師たちに規制されるが、
その教師たちがこんどは校長のもたらす規律や要件に
服従していることも子供は感じ取れる。
権威が倣慢さをだまって見逃したりはせず、
厳しく逆襲するということも学び、権威に対する唯一の適切かつ
居心地のいい対応は従うことである、というのも観察する」

服従は、「させる」よりも「する」方が、
気分がいいのはなぜだろう。命令とかも。
家族、学校、会社、社会のヒエラルキー、タテ組織の力関係により
有無を言わさずゴロニャンしてしまうことを学習する。
いま風に言えばライフハックの一つかも。


この本は「通称アイヒマン実験についての報告」である。

「だが本実験によって、−略−市井のごく一般の人々が、科学の実験の
手伝いという名目を与えられると、自分からは決してやらないような残酷な
仕打ちを他人に対して行ってしまう。平然と、ではない」
(訳者あとがき)

作者はベトナム戦争を引き合いにこう述べている。

「多くの例では、技術が必要なバッファを提供することで
緊張を和らげる。ナパーム弾は、頭上三千メートルから
民間人に投下される。マシンガンの標的となるのは人間ではなく、
赤外オシロスコープの小さな点だ」

ゲーム感覚の戦争。心の痛みが生じない殺戮。
「自分からは決してやらないような残酷な仕打ち」ができるモードに
切り替わるスイッチは、誰にもあるようだ。残念ながら。
詳しくは
アイヒマン実験=ミルグラム実験参照。


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