目覚め

若い詩人の肖像 (講談社文芸文庫)

若い詩人の肖像 (講談社文芸文庫)

なんだかプリンタの調子が悪い。
単にインクの残量がないってことかもしれないが。
あわててネットで注文する。
パソコンともども平均寿命は大きくクリアしているし。
買い替え時期か。


早く寝すぎて、早く目が覚め、
『若い詩人の肖像』伊藤整著をほぼ読んでしまう。
小樽と小樽高商、教鞭をとった小樽の旧制中学舞台で、
作者の文学、最初は詩への目覚めが書かれている。
一学年上に小林多喜二がいたのは有名な逸話。
小林へのライバル心や投稿した詩が入選したり、
仲間と同人誌を出すために、石鹸やバラの花束を売ったり。
このあたりは、ぼくも似たような経験をしている。
んで女性への目覚めや体験も書かれており、
あらあらかなり開放的というか進んでいたんだ。
非モテ系じゃなかったんだ。
やがて旧制中学の英語の教師となるも、
−病身の父親、多くの兄弟がいる家庭環境ゆえ−
文学への志、捨てきれず、親の給料を貯め、
一橋大学の前身である旧制東京商科大学へ進む。
東京での梶井基次郎ら旧三高→東京帝大組との邂逅。
やはり梶井の人となりはかなり強烈だったようだ。
才能と帝大生へのインフェリオリティ・コンプレックスが
包み隠さず書かれていて、わかる、わかると同意す。
詩と英語、このことが伊藤の文学の根底にある。


作者が学生の頃、小樽は人口15万の都市だという記述が出てくる。
小樽は夏に二回、冬に一回訪ねたことがある。
夏はとても暑くて日射病寸前になって、
冬はマイナス10℃の吹雪の中を運河べりを
歩いたことを記憶している。
港町で、有名企業の支店があるなど、
当時はハイカラな街だったのだろう。
その遺産が観光資源になっている。


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