スローリーディング

今朝の冷え込みは、まるで高原でキャンプをしているんだと
錯覚するくらい。
用意してあった毛布をかけると、心地よい。
今年の夏は、結構逃げ足が速いじゃん。


ナイトキャップならぬナイトブックは
『33個めの石』森岡正博著。
見開きごとに作者の思索が述べられている。
分量もちょうど良いのだが、声高でない作者の考えが、
読み手に波紋となって広がる。
「あ、そうか!」だったり「ぼくもそう思う」だったり、
「ちと違うな」だったり。
どうも日ごろ、新聞や雑誌、本を読み飛ばすクセがついていて、
ましてやネットだともっと読み飛ばすわけで。
この本は、寝る前に数ページ読むだけの
スローロリスじゃなくってスローリーディング。


『33個めの石』とは、

バージニア工科大学乱射事件で32人が犯人によって殺された。
そして「33個めの石」は、事件直後の自殺した犯人のために
置かれた」

そうだ。作者はそこに「「救い」を感じる」と。
そして結びで「日本では…」と。
銃社会だからいけないのはわかる。その一方で、救いや許しという
寛容さもアメリカ社会には同居している。
そのある種、健全性は、この国にはないものだ。


日本ではじまった裁判員制度。
ぼくは予想に反して求刑は重くなると思っている。
だって人は、自分に甘く、他人に厳しくが、原則というか心理だもの。
それと裁判後に、彼らが顔出ししてインタビューに答えていたけど、
もし逆恨みした被告側の人間が危害を加えるとか考えなかったのだろうか。
それこそ死刑には私刑をとか。
この本の副題が「傷ついた現代のための哲学」っていうんだけど、
副題に偽りなし。


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