- 作者: 小林弘人
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2009/04/03
- メディア: 単行本
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『新世紀メディア論』小林弘人著 読書メモ−2
「編集という行為は、情報のハブ(データの集約・中継装置)づくりです。
このような情報収集という行為そのものが、雑誌的なのです」
Webの語源がクモの巣。紙からWebまで偏見なく隈なく見渡し、
編集者の目にかなったものをピックアップする。
「「誰でもメディア時代」は、多くのアウトプットは、「発行」か「引用」、
もしくはその両方、あるいは「エコー」といったコピーだけで構成される
ものになるでしょう」
断片と膨大な引用からなるヴァルター・ベンヤミンの『パサージュ論』を思い出す。
引用もどこを引用するか。また、引用を束ねての編集、
「情報のハブ」は、編者によって当然、異なる。
何も無理して記事に仕立てることもないのではないだろうか。
たびたび述べているが、リミックスが音楽として通用しているいまなんだし。
となると、やはり、こう作者が言うのも頷かざるを得なくなる。
「「誰でもメディア時代」では、」「ネットの使い手でない人間が
送り手になることはあり得ないのです」
別に編集者が、コーディングできるようになれと言っているのではなくて、
ネットのことをある程度きちんと知らなければ、対応できないと。
紙や印刷・製版のことは一応知ってるでしょ、それといっしょだと。
「これは私の持論ですが、「雑誌の本質はその形に非ず」なのです。
本質は「コミュニティを生み出す力」なのだと考えています」
器にこだわるな。「コミュニティを生み出す力」があるかどうかが、
コンテンツ作成時の目安となる。なるほど。
そのメディアから派生したコミュニティから、たとえば新しい書き手や
ミュージシャンやアーティストが輩出されるような。
知と知の出会い系サイト。異物と異物のぶつかり系サイト。
「メディアを立ち上げたいなら、今日にでも自宅で立ち上げればいいのです」
マスコミとて最初はミニコミから創刊されたわけだし。
メディアは発刊者の思い入れというか、個性が強ければ強いほど、
ユニークなものが生まれる。
所帯、組織がでかくなって抱えるものが多くなると、
どうしてもコンサバになりがち(どの企業もそう言えるけど)。
「大切なのは出版(=メディア)魂や編集魂であって、
編集者という肩書きではないと思っています」
自分も含めてだけど、
この魂(まぶい−沖縄好きな人ならおなじみ)を
落としてしまった人の実に多いこと。