ポイント・オブ・ビュー

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)


昨日は、体調不良で予定していた東京国立近代美術館フィルムセンターへ行けず。
長谷川一夫衣笠貞之助特集で「月形半平太」と「狂った一頁」を上映していた。
特に、後者は前から見たいと思っていた作品。次は6/22と7/18。


『調べる技術・書く技術』野村進著の続き。
この手の本では、ぼくは立花隆の『「知」のソフトウェア 』がいちばんだった。
立花のは、主に、インタビューの方法から原稿の書き方に注力していたと記憶している。
たとえば、取材メモはキーワードをつまめば、各部分の骨格ができる。
で、文字数に合わせて書き手が伝えたいポイントを
テーマに沿ってプライオリティ順に書いていけばよい。
確か、そんな按配。
野村メソッドは、取材依頼の手紙の書き方から取材場所・時間の設定、
当然取材の留意点、その後のフォローそして肝心要の取材原稿のまとめ方まで懇切丁寧。
インタビューをする時は、当然、準備・仕込が大切。
ぼくも大宅文庫に通った時期があったが、雑誌記事のコピーに基づき、
質問すると、違っていたりすることもしばしばあった。
次のケースが考えられる。


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  • c.インタビュアーの誘導尋問にひっかかり、インタビューイが内容を覚えていない
  • 例:「○○さんは、鉄道の旅が好きなんですよね」
  • 「ええ、まあ」
  • 原稿:「私は、鉄道の旅が大好きなんです」

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  • d.取材せずに、ライターが既原稿を切り貼りしてでっちあげた

ただせっかく生身の人と会えて、1時間程度の短さであっても、時間を共有でき、
その人生観なり、魅力にふれることができるのだから、その場の空気を言葉で再現したい。
その人の表情、ニュアンス、語り口調を再現したい。
だって「interview」には「view」(光景、印象)が含まれているもの。
すでに書かれたものではなく、新しいことを主体に原稿にしたい。と、試みる。
(だが、しかし、著者校で赤字が入り、跡形もなく変わることもある。
原稿の文字数に合わせてすっかり書き換えて戻してくれた人もいる。)
著名人から企業のエライ人、新入社員、市井の人まで話を聞いてきた。
作者が言うように「豊かになる」ためになのだろう。
なあんて書くとインタビューの達人のように思われるかもしれないが、
いくつになっても取材はうまくない。テープレコーダーで聞く自分の声は大嫌いだし。
でも、ようやく取材者の緊張をやわらげる雑談や、
自分の関心があるところは、いやがられても聞けるようになったかなと思う。


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