青い月曜日

杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)

杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)

期待していたフジTVの『SP』総集編。単なるダイジェスト版で、サギにあった感じ。
続きは映画館でってことか。どこまでひっぱるんだ。


今日は、青い月曜日(ブルーマンデー)。電話やメールを少々。
『杳子・妻隠』古井由吉著を読む。
こんなときに、いやこんなときだからこそ、ふさわしい小説。
さてどっちだ。
『杳子』は、冒頭シーンが圧巻。
向かい合っているのに、心が通じない。いやはや、いまでいう痛い恋愛。
何とかしようと躍起になる若い男。でも二人の距離は縮まらない。
杳子の深い心の闇、病み。読んでいて、ひりひりしてくる。
エロス(生の欲動)とタナトス死の欲動)。
人には、矛盾する二つの欲動が棲んでいるわけで。
普遍的文学のテーマで村上春樹の『ノルウェーの森』の先駆的作品ともいえる。
調べたら『杳子』は、映画化されている。山口小夜子が演じているとか。
思い出したけど、ブローティガンの『ソンブレロ落下す』のカバーも山口小夜子だった。
死因までミステリアスな人だった。


『妻隠』は、若い夫婦の話。日常的な世界なのに、
こちらもやはり、うっすらと狂気そして濃密なエロスのニオイがする。
正気と狂気は薄皮一枚、板子一枚下は地獄ってことで。
トーンがなぜか先日終わってしまった『墓場鬼太郎』と酷似していると思った。
描かれている時代が近いからのだろう。
うちの近所でも数年前までは夕方、飛んでいたのに、最近では見かけなくなったコウモリ。
それといっしょで、裂け目や闇は、すっかりなくなり、フラット化したように見えるが、
どうなのだろう。


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