- 作者: 齋藤愼爾
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/12
- メディア: 文庫
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春分の日は悪天候ゆえ順延した妻の甥の墓参りに行く。
うちから横浜の高台にある墓地までは、
私鉄と市営地下鉄を乗り継いで、ちょっとした旅行。
途中のニュータウンがマンションやビルだらけになっているのに、驚く。
最寄り駅から、菓子・供花などを買い、急な坂を登る。
ようやく辿り着く。みなとみらいあたりは、霞んでいた。
上空を鳴きながら烏が何羽も旋回。
田舎の墓地なら牡丹餅や切り昆布の煮たのやリンゴなどがあるが、
お供え物は、持って帰らなきゃいけない。
桜は、まだうっすらと色づいた程度。
妻の積読コーナーから、この一冊を選ぶ。
『時よとまれ、君は美しい スポーツ小説名作集』
なかなかよくできたアンソロジー。簡単な感想を。
『剣 』三島由紀夫 著
男子剣道部物語。「男の友情はホモ情である」という
高校時代の友人の名言を思い出した。
凛々しくも汗臭い世界。
『時の崖』 安部公房 著
あんまり惹かれなかった。
『球の行方』 安岡章太郎
弘前に転校してきた主人公(作者)と地元の子どもたちとの野球の話。
エッセイで読んだような。
『昼の花火』 山川方夫 著
青春や恋愛、ショートショートの名手であった作者の書くものは、
どれもまぶしくて切ない。
『チャンピオン 』井上靖 著
イチオシ。ボクサーの半生(一生?)を描いているが、
好きだなあ、この乾いた文体。
社会性をテーマにした初期の劇画のよう。
『100メートル』 倉橋由美子著
これもおすすめ。ニュージャーナリズムのような清新な文体。
「きみ」を使って語りかけるのは、作者の十八番かも。
『ナイン』 井上ひさし 著
元高校球児が犯罪者で捕まる時の、身内や知り合いの複雑な心境。
取り戻せない時の流れ、そんなものを感じさせる。
『いわゆるひとつのトータル的な長嶋節』 清水義範 著
この人のパスティーシュってあんまり好きくないんだけど、
ネタ的に鮮度が落ちている。
『一刀斎は背番号6』 五味康祐 著
文豪の末裔が巨人軍の打者でデビューする。この人の作品、読むのは初めて。
意外と面白かった。アレンジすれば、漫画化してサラリーマン向けコミック誌に
載せるのもあり。
『北壁 』石原慎太郎 著
作者名を伏せれば、外国の山岳短編小説って感じ。