グルーブのあるグループ

『明日の広告』佐藤尚之著、読書メモ。


オフライン広告(従来のマス広告・販促広告)か、オンライン広告(Web広告)か。
なんかすぐ対立させたがるけど、それぞれ長所・欠点もある。
要は、どう仕掛ければ、最も、生活者に届くのか。
クライアントから仕事の依頼があれば、広告会社は、役割分担で、
自分の引き出しからアイデアなり、プランなり、デザインなり、コピーを持ち寄る。
果たして、それでいいのか。
作者は「初動」を大事にしようと述べている。
偉そうに付記するなら、第一印象を大切にしよう。
すったもんだした挙句、はじめに戻る。これは、ままある。
なら最初からそれでいけばいいのに。そうだよね。


たとえば、クルマの広告媒体は、本当に、カー雑誌でよいのか。
他にもっと有効なメディアはないのか。
ぼくの思いつきだけど、若者向けのクルマなら、
クルマのデザインとURLをプリントしたTシャツを着たグループを
神出鬼没に練り歩かせるとか。ま、凡庸なWeb誘導策だけど。


表現の前に考えるというと、コンセプトメーキングとなんだかセレモニーめいて、
頭デッカチのガチガチの理論武装ってのがありがちなんだけど、
そこから派生した表現な具体案は、ちいともチャーミングじゃない。
作者にならえば「クールな仕組みの上に「フールなクリエイティブを載せる」」ということ。
それには、どうすればいいのか。チーム力だと。
作者は、ベースボール型ではなくサッカー型の組織と説明している。
役割分担ではなくいい意味での越権行為をしろと。
デザイナーのつくったキャッチコピーに、若い担当営業マンの考えたキービジュアル。
ラフコンテは、マーケターの打ち合わせノートの片隅のなぐり書き。
チームってなんだかバンド似ている。バンドのいいノリ、グルーブのあるグループ。ダジャレ。


おまけ。メディア・ミックスとクロスメディアが混同されている件に関して作者の見解。
「メディア・ミックスはすでにあるメディアを単純に組み合わせること」。
クロスメディアは「部分最適」である。メディアごとに最適な表現が違う」。
ぶっちゃけていうと、タレントを広告塔にしてTVCMからラジオCM、雑誌・新聞広告・印刷物まで
串刺しにするのが、メディア・ミックス。なんだけど、制作サイドにはつくりやすいが、
生活者に伝わるのかどうか。
昨今の化粧品やアルコール飲料の、タレントの持ち回り、たらい回しでは、
ブランディングといっても、それこそ、なんだかなあ、である。