ぐさり

紅水晶

紅水晶

ゆるゆるとExcelで確定申告用の経費の精算や支払調書のまとめ。
シブイなあ。広告・出版ギョーカイは斜陽産業なのは、わかってるけど。
もろもろ連絡がつかず、イラッとする。


だもんで、『紅水晶』蜂飼耳の続きを読み出す。
けったいなペンネーム(本名だったらごめんなさい)。女性だった。
詩人の書いた短編小説。
ぐさり。胸をえぐられてしまった。
多少設定に突飛さはあるかもしれないが、全然許せるし、深い。
深遠な世界にすうっと吸い込まれて、すっかり囚われ人になってしまった。
設定や登場人物は、よくある小説と大して違いはない。なのに。
『くらげの庭』と『紅水晶』が、ぼく的には、ぐさり度が高い。
『くらげの庭』は、妊娠中の女性が主人公。
夫の実家で飼っているビンの中に漂うくらげと、
羊水に浮かんでいる胎児と、人生に揺れ動く女性(個人)の
メタファー、並べ方がお見事。
子どもが妻のお腹にいるとき、さわったことがあるが、
予想よりも硬く、ゴム製の水枕の表面に似ていると思った。
『紅水晶』は、若い男女のコミュニケーション不全を
石、鉱石、水晶などでイメージさせている。
エロティック加減に、ぐさり。
金井美恵子の初期の作品を彷彿とさせる。
おっと、おさまりのいい常套句。
ヤン・ヴァン・ケッセルの装画がおしゃれ。
装丁は誰かと思ったら、菊池信義だ。


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