シンポジウムレポート(2)

「武田シンポジウム2008」のきわめてラフなレポートの続編。


講演2「天然資源の利用におけるルール」
武田 穣(名古屋大学産学連携推進教授)


演者は、「大学発ベンチャーのリスク」について語った。
大学の先生(研究者)が、起業して「研究・開発→事業家→産業化」と
ステップアップして経営者になる。その間に予測されるさまざまなリスク。


中でも興味をひいたのは、途上国からの知的財産権使用料の要求。


昔、ロンドンで、大英博物館とキューガーデンを見に行ったが、
心中「ドロボウ博物館」、「ドロボウ植物園」とつぶやいた。
当時は世界に君臨する大英帝国でとにかく儲かりそうなものは、
植民地などから根こそぎ本国に持ち帰った。
おかげで絶滅種の保存に貢献という言い訳も成り立つのだが。


19世紀、天然ゴムの一大産地だったアマゾン川流域から
ゴムの種子を持ち出し、マレー半島にゴムのプランテーションを
築いたのもイギリス(人)だった。


こういう行為をいまは、「バイオパイレシー(生物学的海賊行為)」というそうだ。
途上国で「生物資源アクセスの制限」がかかり、
たとえば勝手にその国の「特産の植物」をもとに、
新薬などの新製品が開発されると、訴えられ、
敗訴すると「多額の賠償金」を支払うこともあるとか。
だから「天然資源の利用におけるルール」を胆に銘じておかなければならないと。


話は戻るが、天然ゴムからやがて合成ゴムの時代になるのだが、
そのおおもとにあるのは、「原産国であるオラッチの天然ゴム」なのだから、
これまでの「利益配分」、分け前をよこせと、途上国側に立つと、こうなる。
なんかキリがないや。


先生も述べられていたが、先進国、大企業=悪い搾取者、
途上国=可哀想な被搾取者。の図式は、あまりにもステレオタイプだという気がする。
矛盾しているかもしれないが。


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