- 作者: 耕治人
- 出版社/メーカー: 武蔵野書房
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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それにしてもこの季節、真夏の人もいれば、真冬の人もいる。
地球温暖化のせいか、部厚い秋冬物のジャケットは不要なのか。
『アイロンと朝の詩人 回送電車?』堀江敏幸著で絶賛していた『一條の光』が
収められた『そうかもしれない』耕治人著を移動中に読む。
短編なので、すぐに読めるが、やはり素晴らしい作品で、泣き出したくなって困った。
危うく乗り過ごすとこだった。はは、中二病かも。意味不明。
老々介護文学のさきがけとして晩年プチブームが来たそうだが、
いやはや、そんな遠い先のことでもないので、身につまされる。
ネタばれしたくないのだが、『一條の光』で一條の光が差し込むシーンは、とても美しい。
単なる清貧への郷愁では断じてない。不滅のブンガク化しているのだ。
そこだけパートカラー(中高年の方ならご存知)。
ともかく売れない私小説作家という絶滅危惧種のような作者と
それを経済的、精神的に支えた妻。
後年、妻の介護で立場は逆転するのだが。
作者は詩人でもあるので、日本語が立っている。
平易で無駄な装飾もなく、冗長でもなく、つぶやくように書かれている。
なおさら、しみてしまう。