多様性を残す

『デザインの生態学』後藤武・佐々木正人深澤直人著の続き。

「デザインの過程には、多様性の中からひとつをピックアップして「もの」化する方法と、
多様性をそのまま残す方法の2種類がある」

「多様性を残すということはミニマリズムである。ミニマリズムとはシンプルなかたちの
静かなデザインの表現のことではない」

深澤直人の記述を適宜抜き書きしてみた。
こういうところからプロダクトデザインしているのか。
要するに深澤って侘び・寂びの人みたいだ。
だってプロダクトデザインに写生なんて取り上げているもの。

「近代のデザインは特定の機能を強く特徴化することに加担しすぎてきた」

「特徴化」もそうだけど、単なる付加価値、アドオンもあげられるだろう。
しかも本当に必要なものがプラスされているかどうか。
いまの万能ナイフのようなケータイ電話とかね。

住まいという箱もリビング、ダイニングなど仕切っていくことにより、
機能性が生じるが、果たしてそうなのだろうかと。
一応利便性はあるが、なんかセグメントされたことによる不自由さは否めないだろう。
ノンテリトリアルな住まいを一例として取り上げているが、面白い試みだと思う。
なんか家族で回遊、移動するみたいな。

「使う側にとってのデザインの存在感を消すこと、あるいは無意識の中にデザインをはめ込んで
しまうことが、多様性を残したデザインとなる」

この考えは、何もプロダクトデザインだけじゃなく、アートや芝居にも通じている。
作る側が100パー伝えるのではなく、適度に、七分程度に留めておいて
使う側(消費者、客)にゲタをあずけてしまう。

なじむ、自分に合っていく、あきることなく、カスタマイズしていく。
そんな余地のあるもの。
でもなあ「ミニマリズム」の持つ、省略の美学って、わかりづらいよな、一般大衆には。


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