わたしはかもめ

黒テントの「かもめ」は、そうチェーホフの、芝居の王道中の王道。
ぐらいしか知らないぼくは予備知識なしで、のぞむ。
昨夜、神楽坂をえっちら登ってシアターiwatoに着く。
途中休憩10分はさんで2時間30分。
ちぃとも長いとは感じなかった。
こういうものがじーんとしみてしまうのは、
ま、たぶん、紛れもなく老いた証拠なのだろう。
青春の入口は蜜のようで、出口はナイフのよう…。
ナイフじゃないか鉈のように精神をズタズタにぶった切られる。
観劇後も、愛とか恋とかの切ない気持ちに煽られて、
夜中に酒をあおる。
ちょうど村上春樹の『ノルウェィの森』を読んだ後に似ている。


ぼくのきみへの不断の思いがなぜに伝わらない。
それどころか、きみにはまだぼく以外のあの男が激しく残留している。
あんなにひどい仕打ちを受けたのになお、
きみはぼくを見てくれない。


かもめは海鳥のはず。劇の前半部は田舎の風光明媚な湖のほとりと
設定されている。
なら、湖は淡水湖ではなく浜名湖や宍道湖のような汽水湖なのだろう。


4/29まで上演中。
小さな劇場なので、役者の息遣いまで如実に伝わってくる。
切なくなりたい人へ。
アルコール分解機能も低下しており、
今日は酒を残しつつ仕事。


黒テント第62回公演『かもめ』


演出兼任の斉藤晴彦のインタビュー
劇団黒テント チェーホフ「かもめ」上演


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